丸山真男

著 日本の思想 から興味深い部分の備忘録

森有孔 と 伊藤博文明治憲法制定時の論争のやり取り、 (森は廃刀令で有名)が伊藤博文を反駁し、どちらも言っていることは漢字カナでむつかしいけど、わかる。

伊藤博文 『もし憲法において臣民の権利を記載せず、ただ責任のみを記載するのでは、憲法をつくる必要はない。……臣民は【※無限の責任※】 があり、君主には無限の権力があり これを称して君主専制国と云う。……ただし憲法から権利義務を除くときには 憲法は人民の保護者たることができない ……、』
森は、憲法最終判定権が曖昧であり 伊藤の説の方が首尾一貫していて伊藤博文が勝っていた。
だが伊藤博文にも森にも自由民権論者にも欠如していたことは、『自由を権力の侵害から衛るため“全”権力の体系の正当性を判定するのは、国民みずからの手に確保すること。』である。

※ 無限の責任 ※ 
空襲などで学校が燃えているのに、先生や校長が、逃げるまえに火のなかの『御真影』を取りにいき、多くの人が死んだ。
あるいは、虎ノ門事件の、内閣総辞職、警官や警護人も皆懲戒処分、 犯人の家族の郷里では全村あげて、正月を自粛し喪中、犯人を教えた教員も責を負って職を辞する、といったエピソード 、その日本の異様さに、ヨーロッパからきた人々が首をかしげた。

(続く