滝平 二郎

 滝平二郎さん切り絵画集(1〜7巻)がブックオフにあった。欲しいな。一週間ちかく悩んで昨日店に行ったら、あぁ、まだあった。 あぁ 全部欲しい。一巻だけ買った。母の日に贈ろう。

 味わい深い。
 ページをめくりながら絵のひとつひとつのシーンにほっとため息が漏れる。母が娘時代の生活ぶりを昔話で語ってくれているようだ。幼い頃読み聞かせてくれた絵本の挿し絵。その物語はみんな忘れたが、切り絵もなにも、そんなものなにもわからない幼年時に、一目視て『ん?なんだろう、なんかいいぞ。』今視ても言葉にならないそんな驚きが繰り返し刷新される。《はじめてではないのに》ページをめくり、まためくり、新しい驚き発見が生まれてくる。 画の映え、色の冴え、形や線の粋
まったく色褪せていない。


↑初期の切り絵
 
 世代や時代の懐古、日本の山村風景、家族の風景、ノストスアルジ、温故知新…、頭の先立つ人間が後付ける意味合い、方便は消さなくちゃいけない。 感ずるもののなかに嘘っぱちがある。父は独断でそうした不誠実さをあぶり出しているのだろう…彼が世に問うているのはその辺なんだろう… 、滝平さんの初期の切り絵、父の師の絵とどこか似ている。