日記


今もこんな部屋に暮らしてるっさ。   

  石ころのはなし
おまえがどれほど卑しいものか知らんが、それはおまえの勝手な思い込みさ。
いくらおまえのこころの内をわたしに聞かせようと、そんなのなんのなぐさめにもなりゃしないよ。おまえがどんなに小さくつまらぬものであっても、おまえは腰を低くして他人から学ぼうとしなくちゃいけないね。たとえわたしがとるにたらぬちっぽけな石ころであろうと、賢明なぼくらにも立派な真理があるのさ。おまえにはそれがみえるかい。

 ロウソクのはなし
きみの気持ちをぼくは素直にうけとめるよ。今度はぼくのはなしをきいてくれよ。
時々だけどね。暗がりのぼくをみてみんなが陰気でねくらなやつだって、ばかにするんだよ。そりゃ太陽みたいな見事な明かりを灯すことなんてできないさ。ちょっとの風で消えてしまうぼくとくらべたら、本当にすごいと思う。真っ暗な砂漠をひと吹きでものの見事に明るい草原につくりかえてしまうんですもの。かないっこない。でもね
そんな立派な太陽でもできないことがあるね。広い広い大地を照らすことができても、
あんな強い陽ざしじゃぁ、ぼくを照らすことはできないね。ぼくみたいな弱い火は、なんのためらいもなく消し飛ばしちゃうのさ。太陽に照らしだされたものは結局、受動のものでしかないんだよ。まるで生死を裂くようにこの世を二分し、明暗の光のなかにぼくらを追いやってしまうのさ。でもぼくは違うね。ぼくの光はありのままを写しだす。そのものの本源をうつしだす。ものの弱さをしっているからね。だからぼくをこれ以上陰気呼ばわりするのはよしてもらいたいね。

と蝋燭が話しかけてくれた、
今年も電気をとめてるっさ、
さっこんである。