職人

今見るも、まだ見ずも
仕事する。


手の指に目を
持たなあ
あかんで。
十年かかるわ、それが
わかるに
十年かかるわ、


それ、わしのや!
(仕事の師匠に怒鳴られる)


レンズ製品にはじめて手をかけて今日は三日目だ。
ナノスケール精度を、手指の先で感知することのできる師匠。四百キロ先の一円玉にレーザー光を的中させるだけの精度。

加工機の掃除の仕方を師匠のやり方を黙って横で見る。ちょっとの掃除のし忘れがあったなら必ず怒鳴られる。細やかな手つき、
手順などを忘れないためにいちいちメモってたら、

なにしてんねん!
こっち見ときぃや!
また、声張り上げられる。
前屈みになりながら、手の動き、拭き方、生まれて始めてみたかのように、出来るだけ自分の体にインプットする。

体で覚えてたらメモなんかなくても、ずっと忘れない。
レンズ磨きなんかてめえにはまだまだやらせられん。二十年先や!
とにかく確実にひとつひとつやからな。

優しく厳しく
ホントにホントに。
職人中の職人の方に
ついていくことができて、俺はホントに幸せだ。





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