クレーの日記

うずめくいろを
おもいでせにし

あるくみちを
とうとぶ、とうとぶ

はなれるという行為は

旅をする

クレーの日記


眠れない缶コーヒ片手に
あるく夜道を、
とうとぶ、とうとぶ

月の色、空の色、雲の色
の混じる彼の水彩を、
思い出しては、夜の雨空を見上げる。
格子状に描く天才的な色の配置、書に似てまるで漢字の形態を細分化したような、太い黒い線
フリーハンドとは思えない緻密な線、独自に技法を編み出し多種多様な手法と発想。(以前美術館で多数の彼の作品を観て圧倒されたのだが、

何を理論づけていたのだろうか?制作の傍らで何を考えていただろうか?

彼もまた、あの頃のドイツ表現主義者たちが一様に兼ね備えていた神秘主義、者だったのだろうか?音楽性文学性の優れた素質、科学に哲学に多くの知見をもって、思索し、思惟に没頭し、画に自らからその答えを導いていくような、彼の情熱的な仕事ぶり、が読める。

最近は制作もないがしろ、なにもしない休みを過ごし続けているわたしだが、その日記を読んで、少しだけ生きかえる。気力が芽生える。

眠れぬ缶コーヒが胃にくる。ゲリラ的腹痛、腹を抱える、苦笑いする、