焚書

846
『めも』


仏陀とイエスが交わるとき
南無アーメン 南無阿弥南無 アーメン

100万年先の地上に横臥した仏陀
地上から吊るし上げられたれたイエス

太陽が血の様に赤く滾り、その年の冬はついに訪れなかった 
春の来ぬ間に蠅がわき 卵は殻の中で腐ってゆく 
空は破れ地球はむき出しにされ
幾度かの季節がすぎ 
人々は地中深く穴を掘り 忌まわしい毒を隠した
その冷たい手で 死の軸に油をさした
以降100万年間の罪深い彼らの遺産に 
人々は再び苦しむこととなった 
 
仏陀とイエスは 彼らの水際に火を挿し入れ
ふたりが交わった

そそりたつ火柱水柱
南無アーメン 南無阿弥南無 アーメン

100万年先の太陽は
鱗の様に冷たく青く照り その年の春はついに訪れなかった
夏の来ぬ間に山川草木はすべて枯れ果て
生命は途絶えた
空と大地と大海の
三相の臨界に立つ
仏陀とイエス
地上の無数の個物とともにかの声を震わせた

わたしは、夜の無人公園で蛇口をひねり両手に水を掬い顔を洗う、


なんのことはない。
ことばは
なんのことはない。
ことばを
知性から引きずりおろしたい。
ことばを
頭からもぅ一度
足もとへ
引きずりおろしたい

なにさまのつもりだろう
ことばがはじめから、
あったなんて
なにさまのつもりだろう


詩が存在するか否か
証明してくれまたえ

と言われて

紙に書かれた
無数のメモを
わたしはライターで燃す

火の粉を払う