日本の思想

丸山眞男著、日本の思想

薄い岩波新書を古本で手に入れた。 世俗的政治のところで書かれるペラペラの新聞や雑誌のコラムと比べ、やはり比較にならない。明治近代から現代に通う日本政治の思想、そこに隠れている脈を、精密なロジックで暴き、具体的な切り口を示し、深く洞察し、論述している。読んで書かれている数ページさへも、識や問題意識が自分に相当に欠如していることを痛感する。ざっと通読したにすぎず、今のところ著についての自分の感想なりを記述することはまだできそうにない。

この本の前に、平凡者ライブラリーで出された丸山眞男セレクションを読んだ。
彼の著を介して今の日本政治について読み解く。逆に、今の日本政治状況を診ながら彼の著を読み解く。その「両輪を駆動しながら」読みすすめられることができる、と実感した。
かなり鷲掴みにしか説明できない(自分の無能さだ)が、ドイツナチズムと当時日本の軍国体制との比較(類似と相似とを)論展開している場面。その本では多く取り上げられていたのだが、読みながら「あぁ、今の政治状況、ここに書かれている通りじゃん。」と膝を打ってしまうのだ。
戦犯が裁判で生々しく証言する資料。そうした一言一言のなかから著者は、日本の軍官僚の精神的有り様を示し、当時の政治構造をも示し、また日本の敷かれた精神の有り体をも示し、、そうした論述を読むなかで、わたしは、今日の何かしらの政治言論とが自分の思考のなかでリンクされていく。

彼の膨大な書籍に今年は少しずつアタってみたいと思う。ロジックのめぐりかたが明快で、難解な事柄でも明解に示してくれる。彼の文体が勉強にもなる気する。政治に留まらず、近現代、それ以前に通じる社会や、国内や海外の様々な言論も紹介され、政治からのアプローチが強いものの、日本の文化や宗教や精神、文学、そうした歴史さへもふんだんに取り込まれている。だから、わたしにはたいへんスリリングで面白い。一石何鳥かしれない。相当に溜めてかかれそう。

丸山眞男の著から得られたこと、考えさせられたこと、これから度々追記する。