hi-rinn horin' hear

   

   わからないまま あとになって 失う者の 手にかけて

        
        切り抜かれた陽の光

        片重(かたえ)の窓から 差すゆっくりとした摂動で

        互いを潜り抜けていた 両の環が間隙を縫っていく

        空が人差し、人差し  示し合い

        矢と目のその眉間に  五色の聡明な糸がよられる

        ひとつの人形が小躍りして

        ひとりの子が 産声をあげた

        稟として 手に握る

        桐箱のなかから 真っ赤な顔が這い出たんだ

        精魂に闘う うっすら浮かべる涙と 怒りの嗚咽が 泣きやむまで

        眠らそうとする…私を (夢のなかを首なしの顔が走っていく)

        煉獄を潜り抜けたひとつの命が

        天道を貫く

        離れた潮の手綱、人身を根元から浚った海が

        それは地に立つわれ等  、人身を根元から浚った海が


        裾の袖口から這い出る者たちが、新たに生まれ、そして遺された。



          意識を新たに変質さする者、野辺の跡地の、明かりの戸口に朝がくる 
          住み込みの新聞店の中で 甲高い罵声が聞こえた ごみ箱を蹴飛ばしながら 
          黙って折込チラシを束ねる  私はふとした安らぎを天井に覚えた
          ほの白く飛び交う小さな蛾の群れ  蛍光のあかりを少しばかりか
          楽しんで回っている 
          ほこりをはたいて灯りのそばを
          離れず飛び交う 矜持の羽根は
          熱光源を求め、 身を焦がすこと
          希って叶わず                         

          あのように眠ろう。
          土の中に顔をうずめて
          摂動する地軸をつかみ
          手のなかの懐かしい駒を捨て
          眠るのだ。
          無知に気ままに喪失した者たちの
          今の今まで、もてあそんだ玩具を
          わからぬままあとになって失うものの手にかけて
          我らの元を転げ落ち
           
     

   
       無知と恥辱の喪失者たちの、コロシアムへと向く
       闘いの門、その「のこった」私の懐中をくぐり抜けていく
       そこに居た広くて大きな手が「のこった」私の
       無為と欲望、人為と摂理 自然のもつ体系 
       あの、地上のサクリフィ・シ・ウムが、のこった       

         
          意識の裡に、微睡みが薄まるとき 

          あのように 眼の裡に包む海を、、を抱き、、

          夢をたたみ、

          六塵を運ぶ風を聴き、

          あのように、眠ろう。

          君となる風を

          君となる山を


            成ろう

          私も、あのように

            倣おう

           な ろ お う




2014 5 29

               / 生まれた姪の子 弟家族  を祝す