うたかたピーカ

2011/07/12 23:04
『うたかた、ピー・カー』

ガラスによりかかり
コーヒアメリカーノ
口にふくめて
排気ガスを垂れ流しながら順番を待つ

縦列待ちのくるまを
チケット販売機にて
1台2台3
とゆきすぎる

ジェスパ
ルノー
スズキ
ケイケイケイケイ
ライトバンも、マフラーもホイルもベッドライトも
色とりどりで
お、オレンジのZ。

有限の視覚距離には
たくさんの照明で
溢れかえっている。

眺められる色光は、
位置や角度をかえながら、まるでかたちをとらならない、目に映るものがゆらゆらと水のなかにあって、有限の視覚距離を射程にとらえた、それぞれのふたつの目玉は、夜のなかの、液体のなかにあって、コーヒアメリカーノを口にふくめながら、排気ガスを垂れ流しながら、順番を待つ、くるまを眺めている。地上をゆらぐクラゲたちのイリュミナリオン

無限距離をとらえようと、私はみえなくなってしまった空を探す。人工灯に乱反射され、、雲が、ビルの隙間にみえている。

コーヒショップのスタッフ「もしよろしかったらet&pmシャーベットどうぞ」「え?なにそれ」、わけのわからないお試し品をもらい、口に含む、むむ、甘味とメンソール味のするシロップのシャーベット。わけのわからない工業精製食品が世に出回り、そういやぁ砂糖に変わるカムのシロップも日本で発明されたらしいが、甘味のクスリと油で精製された人工肉も。これら私たち人間には即効、脳味噌を喜ばす。飢えも渇きもしらない、現代人、私は愉悦と満腹と嗜好にいつも満たされて、胃のなかまでもそうした(頭にばかりに)コントロールされてしまって、しまったな、

あとバラによいか、否。体にきけば、あとからじわじわ、こたえてくれる
手元に光る携帯の電池がわずかだ。ふわふわした電気のクラゲが、たくさんたくさんクルマのバンパーにはりついて、途絶えることのない排気ガスと不味いカムとシガレッと、を吸いながら、どぶの街の側溝から
今一度、無限遠点の、遠くの空をみやるのだが。
どの位置にいても変わらぬものは、なにひとつと地上にはない、ただひとつとないだろうから。切れ目のない、うたかたのピーカーが目の前を流れている。